「壁を作っただけなのに、感知器を付ける必要があると言われました。」
飲食店の改装では、
「お客様にゆっくり食事を楽しんでいただきたい」
という理由から、客席を個室へ変更する工事がよく行われます。
今回ご相談いただいたのも、そのようなケースでした。
既存の客席の一部をパーテーションで区切り、個室を増設する計画でしたが、消防署へ相談したところ、
「新しくできる個室には、自動火災報知設備の感知器を設置してください。」
との指導を受けました。
ご相談者様は、
「壁を作るだけなのに、本当に感知器が必要なんですか?」
と驚かれていました。

現場を確認してみると
現地を確認すると、
既存の客席には自動火災報知設備の感知器が適切に設置されていました。
しかし、新しく設ける個室は、天井まで届く固定式の間仕切りで区画される計画となっており、個室内には感知器がありませんでした。
このままでは、個室内で火災が発生した場合、煙や熱が間仕切りによって遮られ、既存の感知器が火災を早期に感知できない可能性がありました。
消防法上のポイント
消防法では、
「感知器が設置されているか」ではなく、「火災を適切に感知できる配置になっているか」
が重要です。
そのため、天井まで届く間仕切りによって一つの空間が複数の部屋に分かれると、それぞれの部屋で火災を確実に感知できるよう、感知器の増設が必要となる場合があります。
「壁を作っただけ」「客席を少し変更しただけ」と思っていても、消防設備の設置基準に影響することがあるため注意が必要です。
解決方法
今回のケースでは、
新しく設ける個室へ自動火災報知設備の感知器を追加設置することで対応しました。
あわせて、
- 既存設備との接続方法
- 警戒区域の確認
- 消防署との事前協議
を行い、工事完了後には必要な届出と消防検査も問題なく終了しました。
元消防士として思うこと
消防署で勤務していた頃、このような相談は決して珍しいものではありませんでした。
多くの方は、
「消防設備は建物全体で一つの設備だから、壁を作っても関係ない。」
と考えがちです。
しかし、実際には部屋の区画が変わることで、火災の感知方法も変わることがあります。
完成後に「感知器を追加してください」と言われると、天井を開け直して配線工事を行う必要が生じ、余分な費用や工期が発生することもあります。
だからこそ、飲食店の改装では、内装工事を始める前に消防設備への影響も確認しておくことをおすすめします。
この事例から学べるポイント
✅ 個室を増設すると感知器の追加が必要になる場合がある
✅ パーテーション工事でも消防法が関係することがある
✅ 「壁を作るだけ」と自己判断しないことが大切
✅ 改装前に消防署へ相談することで手戻りを防げる
✅ 内装工事と消防設備工事はセットで考えることが重要
このような場合はご相談ください
- 客席を個室へ変更したい
- パーテーションを設置したい
- 店舗を改装したい
- 感知器を追加する必要があるか分からない
- 消防署との事前協議を依頼したい
- 開業日までに消防手続きを終わらせたい
Safety Design(セーフティデザイン)防災行政書士事務所では、元消防職員・消防設備士・行政書士として、消防設備の確認から消防署との事前協議、各種届出まで一貫してサポートしています。

