「2階で飲食店を始めるなら、避難器具を設置してください。」
消防署との協議や立入検査で、このように説明を受けて驚かれる方は少なくありません。
「階段があるのに、なぜ?」
「今まで何も付いていなかったのに?」
「避難器具って何?」
このような疑問を持つのは自然なことです。
実際には、建物の構造や避難経路などによって、避難器具の設置が必要になるケースがあります。
今回は、実際の現場であった事例をもとに、飲食店の2階に避難器具が必要となった理由を分かりやすく解説します。

※この記事について
この記事は、実際の現場事例をもとに構成しています。
建物の所在地や規模などは、個人・事業者が特定されないよう一部変更しています。
現場であった事例
今回ご相談いただいたのは、2階部分で飲食店を開業予定だった事業者様です。
建物は既存の店舗で、これまでも営業に使用されていました。
ところが、消防署との協議の中で、
「この建物には避難器具の設置が必要です。」
との説明を受けました。
依頼者様は、
「階段もあるし、前のお店では何も言われなかったのに……。」
と大変驚かれていました。
避難器具が必要になった理由とは?
今回の建物には、2階へ通じる階段がありました。
依頼者様も、
「階段があるのだから避難できるのでは?」
と考えておられました。
しかし、消防法では、
階段があることだけで安全とは判断されません。
火災が発生した場合、その階段が煙や炎によって使用できなくなる可能性があります。
そのような場合に備えて、もう一つの避難手段として避難器具の設置が必要になることがあります。
つまり、避難器具は「階段がない建物」だけに必要なのではなく、安全な避難経路を確保するために必要と判断された建物に設置が求められる設備なのです。
今回の建物で問題となったポイント
現地を確認すると、さらに別の問題がありました。
建物の三方向は隣接する建物に囲まれており、安全に降下できる場所が限られていました。
また、避難器具を設置する予定の位置には、ひさしがあり、そのままでは避難器具を安全に使用できない状態でした。
そのため、
- ひさしの一部を撤去すること
- 避難器具の操作スペースを確保すること
- 客席レイアウトを見直すこと
などを検討し、消防署とも協議を重ねながら、安全に避難できる計画へと変更しました。
「避難器具を設置すれば終わり」ではなく、実際に安全に使用できる環境を整えることが重要だったのです。
元消防士としてお伝えしたいこと
消防署で勤務していた頃、このようなケースは決して珍しくありませんでした。
「設備を付けるように言われた。」
という事実だけが印象に残りがちですが、本来の目的は設備を増やすことではありません。
火災が発生したときに、お客様や従業員が安全に避難できること。
その目的を達成するために、建物の状況に応じた設備が必要になります。
だからこそ、
消防法は「建物ごと」「用途ごと」に判断され、一律ではありません。
まとめ
2階の飲食店だからといって、必ず避難器具が必要になるわけではありません。
しかし、
建物の構造や避難経路、収容人員などによっては、避難器具の設置が必要になるケースがあります。
今回の事例でも、
設備を設置するだけではなく、安全に使用できる場所を確保するための検討が必要になりました。
これから2階で飲食店を開業される方は、
契約後や工事中に慌てないよう、早い段階で消防法上の確認を行うことをおすすめします。
このようなお悩みはご相談ください
- 2階で飲食店を開業予定
- 避難器具が必要か知りたい
- 消防署から設備の設置を求められた
- 店舗の改装を予定している
- 契約前に消防法上の確認をしたい
元消防士・消防設備士・行政書士として、現場経験を踏まえたアドバイスと手続きのサポートを行っています。
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