東京都内の小学校火災に関する報道で気になる記事がありました。
出火した音楽室の近くには「救助袋」が設置されていたにもかかわらず、実際には使用されなかったという内容です。
もちろん現場には様々な事情があったと思います。
結果として全員の避難が確認され、大きな人的被害がなかったことは何よりです。
しかし私は、防火管理や消防訓練に携わる立場として、このニュースに別の課題を感じました。
それは、
「設置されている避難器具が本当に使える状態だったのか。」それとも「使い方がわからなかったのか。」
ということです。
学校関係は年2回の消防設備点検を確実に実施しているはずです。そうなると、消防訓練が形骸化したものになっているように、憶測ですが、感じてしまいます。

消防法は過去の多くの火災犠牲者の教訓から作られてきました。
そのために建物には、自動火災報知設備をはじめとする誘導灯、避難器具など様々な設備や器具が設置されています。
しかし、設置されていることと、実際に使えることは全く別の話です。
私はこれまで多くの消防訓練や防火対象物点検に携わってきました。
その中で感じるのは、
「設備はあるが使い方を知らない」
という現実です。
救助袋を実際に使用したことがある教職員はどれだけいるのでしょうか。
緩降機を展張したことがある人はどれだけいるのでしょうか。
消火器すら触ったことがない人も少なくありません。
消防訓練も同じです。
毎年決まった日時に、
決まった場所から、
決まった経路を歩いて避難する。
それだけで終わっていないでしょうか。
本来の訓練とは、
「もし避難経路が使えなかったら」
「もし出火場所が想定外だったら」
「もし停電していたら」
を考えるためのものです。
今回の小学校火災では、児童や教職員は窓から庇(ひさし)へ避難したと報じられています。
つまり、消防計画や訓練で想定していた行動だけでは対応できない状況だったということです。
火災はシナリオ通りには進みません。
だからこそ必要なのは、
設備を設置することではなく、
設備を理解し、実際に使い、
想定外に対応できる力を身につけることです。
消防法は設備を増やすために存在するのではありません。
人命を守るために存在しています。
今回のニュースは、
防火管理とは何か。
消防訓練とは何のために行うのか。
その原点を改めて考えさせる出来事だったように思います。
あなたの施設に設置されている避難器具は、本当に使えますか?
safetydesign防災行政書士事務所は、消防設備士、元消防士の立場から避難器具の使い方についての講習も実施しています。
