火災が起きたとき、この救助袋を使えますか?
消防設備点検で救助袋の点検を行うたび、私がいつも考えることがあります。
それは、
「この施設の職員は、本当にこの器具を使えるだろうか。」
ということです。
先日、高齢者福祉施設で
- 消防設備点検
- 防火設備定期検査
- 特定建築物定期調査
を実施しました。
その際、2階に設置されている救助袋の降下試験を行いました。
今回の記事では、その様子を写真とともにご紹介します。

2回のベランダに設置されている救助袋の収納箱のふたを開けたところです。
普段はこのようにコンパクトに収納されています。
多くの施設では、この状態しか見る機会がありません。
救助袋は、収納箱から取り出すところから始まります
救助袋は、
「ボタンを押せば使える設備」
ではありません。
収納箱から取り出し、
広げ、
固定し、
安全を確認し、
初めて使用できます。
つまり、
一度も触ったことがない人が、
火災時に突然使える設備ではないのです。
固定しているベルトを解除すると、自重で1階まで展張していきます。
あとは、蓋の取っ手をもって、救助袋の中に入っていけば、ゆっくりと降下していって、無事に地上へ到着となります。
袋の中に入っていくときは、初めての人は、若干の怖さを感じるかもしれません。
でも、安全に設計されているので、心配はいりません。
ゆっくりと、身を沈めていく感覚でしょうか。

実際に広げてみると分かること
実際に取り出してみると、
想像以上に大きく、
重量もあります。
収納状態では分からない
- 布の広がり方
- 固定位置
- 取り扱い手順
など、
体験して初めて理解できることがたくさんあります。
左の写真は、降下が終わった後に、収納するために一旦、2階まで救助袋を引き上げたところです。
このあと、収納のために畳んでいって、最初の写真のようにコンパクトに収納します。

点検と訓練は違います。
消防設備点検では、器具が正常に使用できるかを確認します。
しかし、
職員が使えるかどうかは、点検だけでは分かりません。
ここが非常に重要です。
設備は正常でも、
使い方を知らなければ、緊急時には十分活用できません。
福祉施設だからこそ重要
高齢者福祉施設では、
利用者自身で避難できない方も多くおられます。
だからこそ、
職員が
- どこにあるか
- どう設置するか
- いつ使うか
まで理解していることが重要です。
先日の小学校火災でも感じたこと
先日の小学校火災では、
報道によれば救助袋は設置されていたものの、
実際には使用されませんでした。
もちろん、
その時の火災状況や避難経路など、
様々な判断があったと思います。
しかし、
今回の点検を通じて改めて感じたのは、
設備があること
と
実際に使えること
は全く別だということです。
元消防士・消防設備士として
私は消防士として火災現場を経験し、
現在は消防設備士として設備点検を行っています。
その経験から強く感じることがあります。
設備は、
人を守るために設置されています。
しかし、
設備だけでは人は守れません。
設備を維持し、
点検し、
そして実際に使えるよう訓練する。
この三つがそろって初めて、
本当の防災対策になると私は考えています。
まとめ
救助袋は、一生使わない設備かもしれません。
しかし、
もし火災が発生したときには、命を守る最後の手段になる可能性があります。
だからこそ、
「設置してあるから安心」ではなく、「本当に使える状態か」
そして
「職員が使い方を理解しているか」まで確認することが大切です。
避難器具は設置されているけれど、本当に使えるか不安…」
「消防設備点検だけでなく、避難訓練や防火管理についても相談したい。」
そんなお悩みはありませんか。
Safety Design(セーフティデザイン) 防災行政書士事務所では、元消防士・消防設備士・行政書士の視点から、消防設備点検だけでなく、防火管理や避難体制づくりまで総合的にサポートしています。
お気軽にご相談ください。
