消防計画が法令違反を逃れるだけの書類になっていませんか?
消防計画を見せてくださいと言うと、立派なファイルが出てきます。
しかし、その内容について質問すると、
「前任の防火管理者から引き継いだものです」
「消防署へ提出したまま見直していません」
「ひな形を使って作成しました」
という回答が少なくありません。
私は、防火対象物点検や防災管理点検、消防訓練の支援を行う中で、この現状に強い危機感を抱いています。
消防計画はオーダーメイドなんです。
消防法施行規則第3条には、消防計画に定めるべき事項が示されています。
しかし、それは「何を記載するか」を定めているのであって、「どう作るか」を定めているわけではありません。
本来、消防計画とは、
- 建物の用途
- 利用者の特性
- 従業員数
- 営業(公開)時間
- 夜間の在館(利用)状況
- 防火管理体制
- 定員管理
- 消防用設備の設置状況などなど
これらを踏まえて、その施設ごとに作り上げるべきものです。
例えば、ホテルと工場では全く違います。また、病院とカラオケスタジオとは、全くその利用形態も集まる人々も異なります。
そうなると、当然ながら避難誘導の方法も、初期消火体制、そして、夜間なのか昼間なのかそれらによって全く異なってきます。にもかかわらず、多くの消防計画は、俗にいう「ひながた」あるいは今風に言えば「テンプレート」によって、会社名、防火管理者名、部署名などなどを入れるとそれでOK!みたいになっていませんか。
消防署(予防課など)は審査機関ではありません。
誤解されることがありますが、消防計画は許認可事項ではありません。
届出です。
消防署へ持参すると、内容を細かく審査されることなく受付印が押され、副本が返却されます。
(行政法上の届出そのものであり、記載事項に不備がない、必要な書類が添付されているなどの外形上の形式が整っていれば義務を果たしたことになります。)
まさに、消防計画はそのものです。(へたをすると、記載事項さえ見ません。)
もちろん消防機関が悪いわけではありません。
法制度上、消防計画は届出であり、建築確認のような審査制度ではないからです。
しかし、現実には
「消防署に受理されたから大丈夫」
という誤った安心感を持ってしまう事業所も少なくありません。
受付印は、その計画が実効性を持つことを保証するものではありません。
ましてや、その建物で本当に機能することを証明するものでもありません。
消防計画はもっと柔軟であってもいいのでは?
私は、消防計画はもっと現場に寄り添ったものであるべきだと考えています。
規則で求められた事項を満たすことは当然必要です。
しかし、それだけでは足りません。
施設の実態に応じて、
- フローチャートをいれる
- 写真や図面を活用する
- 緊急連絡網を入れる
- 夜間体制の現実的な運用を記載する
など、現場で使える形へ自由に工夫してよいはずです。
消防計画は、消防署へ提出するための書類ではなく、火災時に人命を守るための行動計画だからです。
まとめ
消防計画は、消防署へ提出するためだけの書類ではありません。
火災が発生したとき、
誰が通報するのか。
誰が初期消火を行うのか。
誰が避難誘導を行うのか。
そして利用者や従業員の命をどう守るのか。
その答えを示すのが消防計画です。
受付印が押されたから安心ではありません。
その計画が本当に現場で機能するのか。
私はそこを考えることこそが、防火管理の本質だと思います。
一度、自施設の消防計画を開いてみてください。
その内容は、今の施設の実態に合っていますか。
